祈祷

2011年4月11日 復興祈願祭



天と地と、そこに住むすべてのものを造られた主なる神様


 3月11日に起きた東日本大震災から、一月が経ちました。地震に続く大津波は、人々が暮らす町を飲み尽くし、日常生活を破壊しました。そして、あまたの尊い命が失われ、私たちは悲しみと痛みを深めています。1万数千人を数える人々が、亡くなったことに、驚きと恐れを感じています。亡くなった人の数だけ、人生があり、その一つ一つが、あの時をもって、突然、終わりを告げられました。


 その中には、長い人生を歩み、苦労を重ねた方々がいました。人生の最後を安らぎのうちに過ごしたいと願う心がありました。しかし高齢のために、津波から逃れることも出来ずに、巻き込まれた人々もいたことでしょう。


 働き盛りの人々も、そこにはいました。一日の働きの後半に入り、休みを目の前にして、友人や家族と過ごす楽しみを胸に、時を過ごしていた人もいたことと思います。


 幼い子どもを育てるのに、深く愛情を注いでいた人たちもいます。子どもの成長を楽しみにしながら、夕方を迎えようとしていた人たちがいました。


 新しく学びや働きの場、生活の場所を与えられて、将来の活躍、そして有意義な人生を夢見ていた人たちもいました。


 子どもたちは、春休みを間近にして、友達と楽しく遊び、新しい学年に向かう備えをしていました。


 これから小学校に通うのを楽しみにしていた幼稚園の子どもたちもいました。2歳になって、ようやく言葉が話せるようになった幼子もいました。そして、これから生まれてくる時を待っていた新しい命もありました。


 この他にも、言葉に尽くせないほど、多くの命があり、毎日の暮らしがありました。その一つ一つが、地震により、津波によって奪われました。最後のときを迎えた方々は、どれほど怖い思いをされたことでしょうか。経験をしたことのない大きな揺れ、襲いくる津波によって、恐怖と苦しみのうちに終わりを迎えられたことを思うときに、私たちの心は深く痛みます。どうか、神様が一人一人の魂の呻きを聞き届け、天にあって永遠の安らぎを与えてくださいますように。また引き裂かれた家族や友人が、神様の御許で再び顔と顔とを合わせ、再会の喜びに与れますように、心から願います。


 また、今も行方不明となっている大勢の方々がいます。その中には、人々が安全な場所まで辿り着くようにと、懸命に指示を出し続けて、多くの人の命が助かる働きを続けた人がいます。許されるならば、今なお命ながらえて、再び会うことが出来ますように。また、行方不明者の捜索のために日夜、瓦礫の中、海の中で働く人々の上にも、支えと力添えを心から祈り求めます。


 天の神様、あなたは世界のどこにでもいてくださるお方です。天に登ろうともそこにいまし、陰府に身を横たえようとも、あなたはそこにいます。海の底に行き着こうともそこにおられます。どうか、すべての犠牲者と、今共にいてくださいますように。その御手で一人一人を抱きしめ、その名を神様の御心に刻み付けて、永遠の命を与えてください。


 この祈りを、イエス・キリストの御名によって、御前にお捧げいたします。

アーメン  




鎌倉恩寵教会 荒井仁牧師