東日本大震災犠牲者・被災者を覚えて

2012年3月10日 チャリティーコンサート『祈り』

            鎌倉恩寵教会 荒井仁牧師

天と地、そして全てのものを造られた神様


 今日、私たちは、東日本大震災で犠牲となった方々、被災をされた方々を心に留めて、祈りを捧げます。
一年前、突然、大地は揺らぎ始め、長く続く揺れに驚きと不安を抱きました。十分な情報もないままに、ただならぬことと思い巡らすうちに、東北沖で大きな地震が次々と発生したことを知りました。さらに大津波が沿岸の町を襲い、人々を呑み尽くして、日常生活を破壊しました。驚きと恐れのうちに過ごしたあの夜を今、思い起こします。冷たい風と雪が被災地を吹き抜けて、多くの被災者が心細さの中に置かれました。あの日、生きたいと強く願いながらも、恐怖のうちに命を落とした数多くの人たちのことを思うとき、深い痛みを覚えます。どうか、天に召された一人一人の魂に、慰めと平安をお与えください。そして、永遠の安らぎのうちに置いてくださいます様に、心からお願いいたします。
 遺された方々は、家族や友人。職場の仲間や、隣に住む人を失い、悲しみの淵へと追いやられました。また、親しく祈りを共にしてきた信仰の友を失った方々もおられます。寂しさと悲しみの中にある方々に、あなたの慰めをお与えください。
 原子力発電所の事故によって、多くの人が住まいを追われました。避難生活を余儀なくされる人たちに、あなたのお守りがありますように。また、事故の収束のために働く人たちの健康が守られ、その働きが導かれるように祈ります。
 私たちは、原子力発電所の危険性を十分に意識することなく、豊かな生活を送ってきた罪を、今思います。多くの人々の命や生活を犠牲として、私たちの生活、そして教会の歩みがあったことを思い、深く悔いるものです。どうか、人の命を危険に曝すことなく、安心して共に暮らせるような生活を築き上げるための知恵と勇気をお与えください。
 被災者は復興への歩みを踏み出そうと、努力を始めています。その働きをお守りください。しかし、年齢や健康上の問題から、復興の道筋が見えていない人たちもいます。迷いのうちにある人々を、導いて最善の道を備えてください。また、被災地にある教会をお守りください。会員の高齢化によって、会堂再建に戸惑いを覚える教会があります。付属の幼稚園や施設の移転を考えなければならない教会もあります。どうか、諸教会と祈りを合わせながら、あなたの与えてくださる最善の道を探ることが出来ますように。私たちの教会で心に留める名取教会、宮古教会、気仙沼バプテスト教会の上に、聖霊の導きと祝福をお与えください。地域にあって希望のともし火としての役割を果たせるように力づけてください。
 犠牲者、被災者の中には、海外から移住をしてきた人、一時滞在をしていた人がいます。故郷とは違う環境の中で大災害に遭って、身も心も疲れ果てている人たちがいますが、一人一人に相応しい助けを備えてください。また社会の中で弱い立場に置かれ易い人たちがいます。子どもたち、高齢者、障碍者、病気を抱える人たちをお守りくださって、さらなる重荷が加えられないよう御手を差し伸べ続けてください。
 今日一日、世界の各地で祈りが捧げられます。どうか、一つ一つの祈りをお聞き上げ下さって、切なる願いに応えてくださいますように。


 これらの祈りを、主イエス・キリストの御名によって御前にお捧げいたします。アーメン