120号 心のつぶやき 小口文子

心のつぶやき

心のつぶやき  小口文子


神様 あなたの存在を
ずっと昔に聞きました。
その頃、小さかった私は
あなたよりも、あなたを伝える
人のために、
日曜学校を守り続けました。


あなたは常に変わらぬ存在だと
教えられました。
でも、私の中のあなたは
変化し続けてきました。
時には、しめ出そうと努力し
あなたを伝えた人にそむいて
悲しい思いをさせました。


今私は、新しい歩みを
あなたを求めて始めています。
私の立つ所は違いました。
これからも
どんどん変ることでしょう。


とどまってしまうことは
人間でなくなることだと
思うからです。


あなたはやはり変わらぬ存在です。
私をとらえ続けてこられました。
私の小さなあがきは
砂つぶにもならないでしょう。
でも神様、あなたは
私の存在を認めて下さいました。
小さなあがきも一緒にとらえて
どうぞ 道を示して下さい。


120号 1983/5/29

139号 すずかけの実 三嶋信

すずかけの実 三嶋信




木苺の花の雪白はじけ咲く
人ゆるす少なきわが額に近く


すずかけの丸き結実悲しみを
一つづつ冬の空に吊るせり


夕あかねに焦げたる丸きすずかけの実は
垂る深き地心に向きて


七彩のいづれにもあらぬ白捧げ
鉄砲百合の重き沈黙


欠け行くは地球ならずや月蝕の夜も
燃え上る南の地平






151号(詩)師逝きて 三嶋信 / 岩楯幸子

151号 (詩) 師逝きて 三嶋信 / 岩楯幸子


復活祭栄光の讃美そのあした
神取り給ふ我等の牧師を


やがて死ぬ命にあれば精一杯
今日に生きよときのふの説教


めがねのまゝ亡骸となり入らせ給ふ
慟哭に揺ぐ白き棺


「心高く揚げん」と常に言ひましし師よ
会堂の空澄みて高し


弱き者に優しかりにし師は逝きて
春風烈しく青葉を散らす


恩寵の何かを説きて逝きませり
万朶の桜開かん前を
(三嶋信)

ことごとに虚しくひゞく慰めの
言葉はあらじ残されし君に


計り得ぬ悲しみの淵うめむとや
卯月の雪の白く吹ぶける


虚なる心に見れば柿若葉
ただ黄緑に殊更ならず
(岩楯幸子)

169号 詩 時ありて 羽田時子

169号 詩 時ありて 羽田時子


時ありて土に還せるどんぐりの
芽は生ひ出でぬ「くぬぎ」とぞ言ふ


荒野行き折の挟み来し乾燥花
今朝ひらきしは出エジプト記


巨石みなまろまろとあり幾万年
流れし氷河の跡に磨かれ


173号(詩) 海 三嶋信

173号(詩) 海 三嶋信




水を別ち上なるを空下なるを海と
よびたり我が創世記




海を出づる大き太陽われよりも先に
小蟹を赤く染めたり


創造主の意志なる梅の深き紅労して
生くる身に仰ぎ見る


木苺の雪白の花はじけ咲く人赦す
少なきわが額近く

262号 短歌   三嶋信



水を別ち上なるを 空下なるを海と呼びたり わが創世記



海を出づる大き日輪われよりも 先に小蟹を朱に染めたり




323号 溢れる想い(祈り) 井戸淳子

溢れる想い(祈り) 井戸淳子




転んだ時にも 主は居られた。
救急車の中にも 主は居られた。
手術を待つ一人部屋にも主は居られた。
手術台で主は共に横たわって下さった。
術後の夜の痛みを、主は共に担われた。
十字架の傷の痛みを思えば、
何と私は幸いだろう。
その血潮と水と苦しみ故に
今、私は在る。
四人部屋の片隅の小さなへや。
ああ、ここはもう教会。
私と主イエス・キリストと二人だけの。
慰めと癒しと赦し憐みに満ちている。
勿体ない程の贅沢な時間と空間。
天のお父様、どうかこの小さき者を
あなたへの深い聴従と祈りに導いて下さい。
神の家族、祈りの友にひたすら感謝します。


323号

323号 友情のレシピ 高田順子

323号 友情のレシピ 高田順子