2013年3月10日 東日本大震災犠牲者・被災者のための祈り
荒井 仁牧師

 
 天と地と、そこに住むすべてのものを造られた神様

 東日本大震災から明日で二年が経とうとしています。あの日、人々の生活は、突如として途絶えてしまいました。家族や同僚や友達との結びつきが、大きな揺れと押し寄せる大水によって、引き千切られました。恐れと混乱と不安が被災者を襲い、将来を思う余裕すら奪われました。悲しみと痛みは、今も癒えませんが、それでも今日まで歩んで来ることができました。あなたのお守りと、導きを感謝いたします。多くの人たちが、様々な形で被災者に寄り添い、命の温もりを与え続けました。一つ一つの働きを祝福して下さった恵みを感謝いたします。

 私たちは復興の道のりが、平坦なものではないことを、被災地の現状から知らされています。仮設住宅暮らしは、まだ暫くの間、続けなければならない地域が多くあります。その中で、孤独の内に過ごさざるを得ない人たちもいます。あなたの声が一人一人の魂に呼びかけ、人々との結びつきを取り戻せるようにしてください。

 働き場を求める人、新たな住まいを探す人が、辛さを抱えながらも、道を切り拓けるように、導いて下さい。

 町の再建、移転によって、地域社会を取り戻そうとする努力も始まりました。心の中には慣れ親しんだ町並みが見えていることと思いますが、被災者が望む地域の形成が行われるようにと願います。

 復興への歩みの中で、弱い立場に置かれがちな人たちを顧みて下さい。病を負う人、障碍を持つ人、高齢者、子どもたち、海外から来ている人たちが、外側に放置されることのないようにしてください。

 原子力発電所の事故の収束は、私たちの目には見えてきません。多くの人々が避難生活を余儀なくされ、家族も離れ離れになっています。それぞれの健康と生活が守られますように。家族と離れて暮らすことで、寂しさを覚える人々に、慰めと支えをお与えください。放射能の問題は、人間の驕りと罪を明らかにしています。大都市の生活を支えるために、貧しい地域が放射能汚染の犠牲となる構造の上に生きている罪を思います。どうか、あなたの赦しのもとで、安全な暮らしを送れるように、私たちの生活を造り変えて下さい。そのために、知恵を与え、新たな決断を下す勇気を与えて下さい。

 自己の収束のために働く労働者の健康が、少しでも被害を免れるように心から祈ります。

 被災地にある諸教会を覚えて祈ります。会堂や牧師館が被災し、新たな建物を求め、主の栄光を現す器として歩む教会に、あなたの祝福をお与えください。名取教会、宮古教会、気仙沼バプテスト教会を特に顧みてくださって、地域の希望の源となりますように。教会が幼稚園などの働きを担っていますが、子どもたち、教職員の上にも、あなたの豊かな恵みとお守りがありますように。

 愛する者を失った悲しみは、まだ癒えることなく、被災者は生きていかなければなりません。これからも困難な道程が続くことが予想されます。しかし、あなたは、いかなる時にも、弱くされた人々を見放すことなく、導いて下さいます。安らぎを与え、魂を生き返らせて下さいます。たとえ死の陰を歩むとも、決して離れることのない御手が、あらゆる形で一人一人を守られます。そして、食卓を整えて、「生きよ」と命じられ、人々との小さな交わりの中、与えられた命の喜びを味わうようにして下さいます。今は、まだ不安や悲しみ、痛みを引きずる人々も、あなたの与えて下さる安らぎの家が約束されています。どうか、多くの人々があなたに希望を見出し、困難を乗り切れるように支えて下さい。

 また、私たちに、被災者と共に歩む心と賜物を与えて下さい。互いに良き物を分かち合って、一方的な関係ではなく、互いに支え合う旅を楽しめるようにしてください。

 これらの祈りを、主イエス・キリストの御名によって、み前にお捧げいたします。
 アーメン